バイオリン初心者(初めて)のための楽器購入ヒント/考え方整理

バイオリンセットイメージ画像

初めてバイオリンを購入する方向けの記事ですが、後半は中上級者の方にも参考になります。

「初心者なのでとりあえず」ではなく、本記事を読んで今後どうステップするかをイメージして購入されると後悔の無い買い物が出来ます。

バイオリンを買うにあたって念頭におくべきポイント

指チェックイラスト

まず、以下の4点を念頭に確認させて頂きます。

  1. 価格と音色は比例関係です
    安いバイオリンは、良い音は出ません。値段の割に良い音がする楽器はありますが、結局は値段相応の範囲です。高額になるほど深みのある美しい音色となります。
  2. 楽器の買い方にゼッタ的な正解はありません
    超廉価版を買っても良いですし、お財布が許せる上限バイオリンを最初に買っても間違いではありません。誰かに「もったいない」と言われるかもしれませんが、賛同する人もいます(特に楽器屋の店員)。
  3. ヨーロッパ製でも10万円前後からあります
    初心者でも、「ある程度の音質が欲しい」「そこそこの楽器をもちたい」という人は10万円からヨーロッパ製が買えます。
  4. 素人でもバイオリンの音色は聞き分けられます
    お正月の「芸能人格付けチェック!」で弦楽アンサンブルの聞き分けチェック(同じ曲を初心者楽器と数億円の高額楽器(ストラティバリバイオリン等)での演奏聞き分け)で半分のタレントが不正解となりますが、楽器屋に行って1台づつ聞き比べれば素人でもその音色は一目瞭然です。値段が上がるほど音の深みが違うのが分かります。

これらのことを頭の片隅に置きながら、以下の記事を読んで「幾らくらいのバイオリンを買うか」という判断を頂けたらと思います。

低価格バイオリンのご紹介

本賞は「最初から楽器にお金をかけたくない」という方に対するお勧めの記事になります。

1万円のバイオリンフルセット

ご参考までにアマゾンで売られているバイオリン初心者用セットです。価格は11,000円で120件のレビューがあり評価3.9です。

1万円のバイオリンでも大丈夫?でも紹介させて頂いていますが、こちらのバイオリニスト(藤原望さん )動画が参考になります。
弘法筆を選ばずで、安い楽器でもプロが弾けばそれなりの演奏となります。

ご参考情報ですが、車のレースに勝つためには「マシーン性能を上げるよりも、ドライビング技術を磨く方が重要」です。上級者はポンコツ車に乗っても早いタイムを打ち出します。

楽器屋で試し引きが出来るレベルになるまでは、1万円のバイオリンでも十分
との藤原さんのコメントは、当を得たコメントです。高い楽器を買っても練習しなければ意味がありません。何軒もの楽器屋に行って高額な楽器を選定するのではなく、廉価版を通販で買って翌日から練習することが上達への近道です。

1万円のバイオリンはディスられたりしがちですが、商品として存在している以上、ニーズがありプロのバイオリニストも支持しているので「買って損」という代物ではありません。

楽器屋さんは廉価版バイオリンは勧めません

楽器屋に限らず、営業マンはより高い商品を勧めてくるのは常のことです。なんでも安いより高いののほうが素材やパーツの品質が上がるので、音色や満足感は上がります。営業マンは「せっかくだからより良い楽器を持ちませんか」「安いのはここが劣っています」等のセールストークをしてきます。

しかし、廉価版バイオリンでも立派な商品で不良品という訳ではありません。プロバイオリニストも「十分弾ける」と言われているのだから廉価版バイオリンでも立派なバイオリンです。

「ステップアップを目指すから今はこれで良い」と割り切ってしまいましょう。店員のセールストークに乗らず「次回は5万円以上のバイオリンを買うので今は、これで良いです。」と意志を明確にして楽器屋に行きましょう。

メルカリ・ヤフオク(個人売買)で購入する

初心者用バイオリンは新品よりも、中古市場の方が幅広い選択肢があります。個人売買で中古バイオリンを購入するメリット/デメリットをご紹介します。

メリット

  • 新品価格よりも大幅に安く買える可能性がある
  • 1万円以下(数千円)で初心者としては良い楽器が買える可能性がある
  • ショップよりも安くて多様なバイオリンがある

デメリット

  • 個人売買なので、思わぬ落とし穴がある可能性がある
  • 音色を確認してから買うことが出来ない
  • 初心者用10点セットのようなものはないので、備品を買いそろえると新品の1万円セットを購入した方が安上がりになる可能性がある

中古市場の落とし穴にハマらない対策としては
スズキ、クロサワ等のブランド品を購入することをお勧めします。新品だと安くても5万円ほどはするので、1万円程度で買えればお得感はあります。

以下の画像はスズキバイオリンのラベルです。

エフ字穴(エフジコウ:バイオリンのfの字に似似た穴)から覗くとブランド名や作成者のラベルが貼られています。

ご予算5万円の方へのお勧めバイオリン

ニコロサンティ「NSN60S」モデル

ニコロサンティ「NSN60S」モデルは、楽天で4万円程で売られています。

このバイオリンは、島村楽器初心者向けバイオリンとしてブランド化した商品です。島村楽器の弦楽器部門責任者であられる茂木顕氏が監修しています。

  • 初心者でもある程度、楽器に対して満足感を持ちたい
  • 暫くは買い換えは考えずにバイオリンを始めたい

このようにお考えの方にはうってつけのバイオリンです。

バイオリンレンタルについて

続けられるかどうか分からない人はバイオリンレンタルも選択肢には入ります。篠崎バイオリン工房さんですと¥3,000/月(¥8,550/3ヶ月、¥16,700/6ヶ月)という価格で借りられます。

しかし、「1万円でフルセットの新品が買える」ので、レンタルは安上がりではなく、物を増やしたくないという人にお勧めの選択肢ではないでしょうか。

10万円~50万円のバイオリンについて

バイオリンをそれなりの趣味としている多くの人はこの価格帯のバイオリンを購入されています。

10円代でヨーロッパ製のバイオリン買えます

100万円以下のバイオリンだと中国製も多いですが、チェコやルーマニア製ですと10万円前後からあります。

ヴァイオリン H.Lorenz(ハラルド・ロレンツ)#04 チェコ製【決算お買得フェア9/12(土)〜9/22(火・祝)】|miyaji-onlineshop
ヴァイオリン H.Lorenz(ハラルド・ロレンツ)チェコ製

こちらのチェコ製バイオリンはヤフーショップ139,000 円で得られています。

ドイツ製ですと20万円~購入できます。

中国製のバイオリンについて

10万円~50万円の価格帯だと中国製のバイオリンも選択肢に入ってきます。「中国製のバイオリン」というイメージはあまり良くはありませんが、
価格に対する音色
という観点からはお勧めです。プロでも音色から楽器の生産国が分かる人はいません。ですので、
音色重視
の人には中国製のバイオリンはお勧めです。反面
ステータス重視
の人はヨーロッパ製のバイオリンがお勧めです。

50万円以上のバイオリンの音色は深みと響きが違います

価格と音色は比例するので当然ですが、この価格帯になると本当にバイオリンらしい響きが出てきます。初心者でこのクラスのバイオリンを手にすることも間違いではありません。以下に悲観的視点と積極的観点をリスト化しました。

悲観的視点

弾き手と楽器がアンバランスでいわゆる「身の丈に合っていない」という状態となります。初心者がこのクラスのバイオリンを持つと、バイオリンの性能を引き出すのに時間がかかり、宝の持ち腐れ状態が長くつづきます。

積極的観点

音色が良いので、練習のモチベーションが上がります。早く、「本来の楽器性能を引き出せるようになりたい」という気持ちで、技術習得に前向きになります。このクラスのバイオリンだと更にステップするときに良い価格で下取りしてもらえます。

参考までに楽天で1,100,000円 で売れていたバイオリン画像を掲載します。楽器の表情は勿論ですが、糸巻きや顎当てなどもパーツの質感も違います。

ヴァイオリン坂本忍(さかもとしのぶ)2019年製【小金井店ショールーム取扱商品】

ちなみに100万円以上になると鑑定書が付きます。「高級品」としての扱いとなります。いつかはこのクラスのバイオリンを弾きこなせることを夢見て練習されると良いでしょう。

低価格(1~5万円)か10万円以上のバイオリンどちらを買う?

「どれだけ背伸びをするか」ということではないでしょうか。上記の「50万円以上のバイオリンの音色」でも”悲観的視点”、”積極的視点”で記載しましたが、初心者が10万円以上のバイオリンを買うにも善し悪しはあります。

バイオリンを弾きたいと思う人もいろいろとタイプ分かれると思います。ご自身がどのタイプに近いか確認してから購入することをお勧めします。

  1. 人前で上手に弾けるようになりたい(人に音楽で感動を与えてみたい)
  2. 音楽仲間を作りたい
  3. バイオリンに触れることに幸福感を感じる
  4. バイオリンの先生との会話(触れあい)が楽しい
  5. 一生懸命になれる(人に自慢できる)趣味を持ちたい

バイオリンを始める動機として、上記の1~5の中で最も強く共感を感じる番号をご確認ください。

長期目線で上達したい方は廉価版バイオリンをお勧めします

上記の選択肢で、1~2に共感を感じる方は敢えてはじめは安いバイオリンで我慢して「ステップを目指す」という楽器購入予定を立てることをお勧めします。

「まずは、試し弾きが出来るレベルを目指す」というマイルストーンを設定すると、「次のバイオリン購入を目指して練習に励む」というモチベーションが維持できるのではないでしょうか。一例ですが、ステップイメージを以下にご紹介します。

1~2年目:1万円の廉価版バイオリン
2~4年目:5万円~20万円の初心者~中級者バイオリン
4~8年目:30万円~50万円の中級者~上級者バイオリン
10年目~:適宜経済力に応じて高額バイオリンにチャレンジ

複数の楽器に触れる経験値を買う

筆者は幼少期からバイオリンを習っていました。ピアノと違ってバイオリンは、体の大きさに応じて子供用のバイオリンが7サイズあります。体が大きくなる毎に、親に少し大きいバイオリンを買ってもらっていました。

幼児の時は1/16というサイズのバイオリンから始まり、1/10、1/8と体の大きさに応じて徐々に大きいバイオリンを持つようになります。

今でも覚えていますが、「新しく買ってもらった大きいバイオリンは良い音がする」と子供ながらに感じていました。次のサイズが弾けることで成長感や満足感を抱いていました。

長く使うからという理由で初心者が10万円以上の楽器を持つことも悪くはないですが、ステップをすることで、以前のバイオリンよりも良い音がすることを弾く毎に確認が出来るようになります。これは、バイオリニストとして価値ある経験ではないでしょうか。

成長志向が強い人は、最初は廉価版バイオリンを買ってステップというマイルストーンを設定し計画的にバイオリンを購入した方がより成長できると思います。

ちょうど子供が体の大きさに応じて徐々にサイズの大きいバイオリンを買っていくように、レベルに応じてバイオリンを買っていくことをお勧めします。もちろん、子供ほど頻繁に買う必要はありませんが3年~8年くらいを目安に次のバイオリンを買うのも良いでしょう。

下取りを想定してバイオリンを買う

パソコンや車と違って、バイオリンは時間がたっても下取り価格は一定です。廉価版バイオリンは別ですが、初心者向けバイオリンでも楽器屋ブランド(下倉、島村)やバイオリン教室(スズキバイオリン)ブランドがあります。これらを買っておくと下取りが有利になるので、お買い得品に飛びつかずリセールを考えて購入されることをお勧めします。

はじめから10万円以上のバイオリンを購入する?

初心者のバイオリン相場は5万円以下ですが、10万円以上のバイオリンを買うか迷っている方へのヒントになれば幸いです。

初心者だけど10万円以上のバイオリンが欲しいと思う方へのヒントとして、バイオリンに対する目的意識を確認することをお勧めします。ご自身のバイオリンに対する目的意識を確認して楽器購入されると後悔の無い買い物が出来ます。

上記の質問で、1,2を選んだ上昇志向(人前で上手に弾けるようになりたい等)の強い人は、ステップアップをすることをお勧めしましたが、

3~5に共感を感じる方、「バイオリンに触れることが楽しい」「バイオリンを趣味としているというステータスに価値を感じる」という方で、「どうせ買うなら10万円以上の楽器が欲しい」という思いがあるならば、可能なご予算に応じた良い楽器を買うことをお勧めします。

バイオリンに触れる度に満足感や幸福感を味わいながら練習ができるというのが得られる利点になります。「上手に弾けることは目指さないわけではないが、バイオリンを弾くことを非現実としての至福の時間として楽しみたい」このような価値観をお持ちの方は、高額なバイオリンを持つのも悪くないです。

初心者のバイオリンの買い方3パターン

初心者のバイオリンの買い方として大きく3つのパターンがあります。ご自身の考え方の整理の助けになると思います。

①10点セット1万円のバイオリン、又は5万円以下を購入する考え方

  • 最初は5万円のバイオリンではなく、敢えて安いバイオリンを購入し、次回のステップで15万円や25万円のバイオリンを購入することを目指します。そのための資金として最初は最安値のバイオリンを購入します。
  • 最初は誰かに聞かせることもないので、割り切りで最安値のバイオリンを購入します。
  • 早く試し弾きが出来るようになって、自分が納得のいくバイオリンを購入出来るよう練習のモチベーションとします。
  • バイオリニスト(藤原望さん)動画をモチベーションとして「1万円のバイオリンでも素敵な演奏はできるので、まずは練習に励みます。
  • 5万円以上の楽器だと選定に時間を要します。当然その間は練習は出来ません。とりあえず安い楽器を買ってどんどん練習した方が早く上達します。

②5万円~10万円のバイオリンを購入する考え方

  • バイオリン初心者の王道的な楽器選択方法です。
  • 1万円という廉価版ではないので、楽器に触れるときある程度の満足感を持って練習に取り組むことが出来る。
  • 「身の丈にあったバイオリン」で引け目を感じず、また機会があれば人に演奏を聴かせることも出来きます。

③予算の許す上限のバイオリンを購入する考え方

スタートダッシュとしては一番良い選択肢です。

  • 常に満足感をもって楽器に触れることが出来きます。
  • “楽器の性能を引き出したい”という思いが練習のモチベーションになります。
  • 上達するほど楽器から良い響きが出てくるのでより練習が楽しくなります。
  • 「演奏を誰かに聞いて欲しい」とい思いが沸きやすくなる(人に聞かせる機会があると更に練習のモチベーションが上がります)
  • 高額バイオリンのオーナーになった満足感がえられます。
  • ブランド物を買っておくと更にステップアップするとき、下取りが有利になります。